『不登校のこと、古山明男さんになんでも聞いてみよう!』
1月19日(日)古山明男さんをお招きして講演会・相談イベントを実施しました。
当日の現地参加は28名、オンライン参加の申し込みは17名でした。
不登校支援をされている方も数名参加されており、本当にありがたく心強い思いです。
前半はまず古山さんの講演。
これまで本当にたくさんのお子さんたちと関わってきたからこその貴重なお話を伺えました。
どんなお子さんに、どのように関わってきたのか、実演しながらユーモアを交えて分かりやすく伝えてくださいました。
そして、不登校の状態を、
ポリヴェーガル理論
という自律神経系の働きから説明できるとお話しされました。もともとはトラウマ体験をした人に対するセラピーで注目され影響を与えてきた理論です。
自律神経にはよく知られているように交感神経と副交感神経がありますが、
ポリヴェーガル理論では、副交感神経にもさらに2種類あり、
不登校状態はその一つの「背側迷走神経複合体」が作動して
“フリーズ・シャットダウン状態”
になっているのだと。
それを「甘え・わがまま」ととらえ、「休みグセがついてはたいへん」「乗り越えさせなければ」とさせるのは大人の判断ミスで、
“安心できる環境での向社会的な鎮静・弛緩”を担う、もう一つの副交感神経である「腹側迷走神経複合体」に働きかけることが大事だということ。
それは、叱責や賞罰はもちろん、熱血(強引)な関わりや指摘・アドバイス、これができたら次はこれ!と常に引っ張り上げようとするような関わりでは決してなく、
必要なのは
子を暖めるような、そっと寄り添う関わりであり、
ただそれがおもしろい、ということに熱中することであり、
他愛もない会話を続けられる居心地のよさであるということ。
古山さんは長く塾などを通して不登校の子どもたちと関わってこられましたが、
当時子どもたちに合わせて勉強を教え、それなりの進学・就職をした彼らの中で、20年後の今、うつ状態になっている人たちがいるという現実から、
もっともっと、野球でもボードゲームでもなんでも、
キャーキャーワーワー我を忘れるくらい一緒に楽しく遊び抜けばよかったと、
勉強はもっとその後でよかったと気付いた
とおっしゃられていたのがとても心に刺さりました。
講演のあとは質問コーナー。
前半の質問コーナーでは、現地参加されない方の質問を中心にお聞きしました。
オンラインで直接やりとりできる方には、お子さんのこれまでの経緯やもっと具体的な状況について聞きながら、さまざま考えられることを伝えてくださいました。
オンラインを終了し、
後半は、古山さんを丸く囲んで和やかな雰囲気で行いました。
みなさん切実な思いを話してくれました。
昼夜逆転をしているお子さん、
発達特性から相手の感情やルールが理解しづらく学校生活が難しいお子さん、
本人がもう学校を見限って高校進学も焦っていないというお子さん、
毎週訪問してくれる先生の熱意に感謝しつつちょっと負担になっているお母さん、
思春期のお子さんとの会話の続け方に悩むお母さん、
ホームスクールにすると決めたが同じような方と繋がれたらというご両親、
などなど。
うちだけかと思っていたけれど、そうではないと分かり参加してよかったとおっしゃってくださった方や、
申し込んだ時は悩んでいたが、子どもに期待や執着をしすぎないように堪えたら、子どもが変わってきてうまくコミュニケーションが取れるようになったと体験を語ってくださった方もいました。
古山さんは、実際にそのお子さんを知らないということと、本当にその子によるということから、「こうすればいい!」という断定的なことを一切おっしゃらない。難しいなぁと思うケースには「難しいですねぇ」と。
それで物足りない思いをした方もいらっしゃったかもしれません。
また、理論や理想を聞いても「そうは言ってもねぇ」とため息をつかれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
事務局としても、もっとここは古山さんの意見を引き出せばよかったとか、親御さんの“ため息”の代弁をして話を深めればよかったなど、反省点がいくつかあり、次回に活かせればと思います。
けれど、古山さんの、言い切らないその姿勢に誠実さをとても感じ、
本当に誰1人同じ子はおらず、その子その子に向き合って関わり方を考えてこられたんだなぁと感じました。
親としても、目の前の我が子をよく見てよく感じて寄り添っていくことや、
そのための考え方・捉え方の引き出しをこうやって講演会や他の人の話を聞いて増やし、我が家にあったやり方を試行錯誤していくことが大事だなぁと思いました。
今回の講演会を通じて、
こころが少しでも軽くなり、
子どもとの関係を今までと少し違う視点から見ることができ、
子どもの「今」を信じる力になったらいいなぁと
心から願っています。
そして、モヤモヤした部分が出てくるのも当然だと思います。
「分かるけどそんなふうに思えないわ」「うちとは違うし」「我が子にはどうしたらいいのだろう」
そんな気持ちを、お茶っこ会やおとかわグループLINEでシェアしあったり、一緒に考えていけたらいいなぁと思っています。(S)
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